認知症Dementia

認知症について

認知症とは、正常に発達してきた記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断などの知的な能力、いわゆる認知機能が何らかの病気によって脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態をいいます。そして認知症が進行すると、理解する力や判断する力が低下し、社会生活や日常生活に支障が出てくるようになります。

認知症の症状には「中核症状」と呼ばれるものと、「BPSD(行動・心理症状)」と呼ばれるものがあります。BPSDは「認知症の行動と心理症状」を表わす英語の「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」の頭文字を取ったものです。かつてBPSDは、中核症状に対して「周辺症状」と言われてきましたが、近年は「BPSD(行動・心理症状)」という名称が一般的になってきました。

「中核症状」とは脳の神経細胞が壊れることによって、直接起こる症状です。そのため誰にでも共通する症状と考えられています。

一方、周囲の人との関わりの中で起きてくる症状を「BPSD」といいます。BPSDは、その人の置かれている環境や、人間関係、性格などが絡み合って起きてくるため、人それぞれ表れ方が違います。

介護者が対応に苦慮する多くは、中核症状よりもBPSDです。
BPSD認知症の行動と心理症状

例えばこのような
症状はありませんか?

暴力・暴言がひどく、介護している時につい、感情的になってしまう。

大声、奇声が激しくご近所に気を使う。

同じ話ばかりを繰り返し、聞くことに疲れてしまう。

薬を飲んでくれない。

ご近所の方に嘘の話をして困る。

被害妄想がひどく、責められてつらい。

汚れたものを隠してしまう。不衛生になっている。

認知症の方々は、認知症の症状による苦しみを抱えておられます。
BPSDの背景には、認知症や老化そのものへの不安感、孤独感、尊厳が傷つけられているという悲しみなど、多彩な深い感情が隠れていることもあります。介護者の方やご家族様にとってみれば、とてもつらく、「私が嫌いだからこんなことを言うんだ、こんなことをするのだ」と、悪意を感じてしまうかもしれません。

しかし、こういった症状は脳の神経細胞がダメージを受けた結果、ご本人も無意識に思考してしまうものであり、対象者への積極的な悪意を持っているのではなく、ご自身のつらいと感じている状況を必死に周囲に伝えようとしている手段であると考えられます。

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